このライトノベルがすごい!2021【感想】
どうも、にまめです。今回は、『このライトノベルがすごい!2021』について語っていきたいと思います。それでは、どうぞ!(※文庫部門のみの感想になります)
フレッシュさ光るランキング結果に
今年は『とある魔術の禁書目録』や『りゅうおうのおしごと!』など、ビッグタイトルが殿堂入りし、『この素晴らしい世界に祝福を!』や『デート・ア・ライブ』といった時代を牽引してきたタイトルたちも完結を迎えました。そんな中で迎えたこの季節。ランキング結果はなんと、まだ若きタイトルたちばかり。
10位以内の中で5冊以上刊行されている作品は『ようこそ実力至上主義の教室へ』と『弱キャラ友崎くん』のみで、あとはまだまだ成長期のタイトルが多い印象を受けました。
世代が一つ巡り、変わってきているということでしょうか。わくわくが止まりませんね! Web投票の件数も大きく伸び、ライトノベル業界が再び注目されている時代が訪れているのかもしれません。
この勢いのまま、業界が盛り上がってくれると嬉しいですね!
それでは、トップ10作品についてひとつづつ触れていきたいと思います!
1位 『千歳君はラムネ瓶のなか』
著:裕夢 イラスト:raemz レーベル:ガガガ文庫 Webランキング:6位
今一番勢いのある新作がなにかと問われれば、やはり”チラムネ”と言わざるを得ないでしょう。青春というテーマがとことんまで描かれ、キャラクターたちの中に丁寧に落とし込まれています。安定した筆力・情緒的な文章も人気の理由の一つであり、読み物として完成度が高い作品だと言えるでしょう。
ラノベとしての外連味も忘れておらず、エンタメとして非常に楽しめる本作が1位ということで、僕は納得の順位でしたね。
正直、去年の対象内である1巻に関しては、そこまで大きな衝撃はありませんでした。しかし、2巻からの爆発の仕方がすごい。作者も本インタビューで答えていましたが、チラムネは2巻からが本番。まだ読んでない人は絶対にチェックです!
2位 『スパイ教室』
著:竹町 イラスト:トマリ レーベル:ファンタジア文庫 Webランキング:17位
ファンタジア文庫期待の新作がなんと2位に! これは意外でした。僕自身すごい好きな作品ですし、人に自信をもって勧められる作品なのですが、あの『よう実』を抑えての2位という快挙には衝撃を受けましたね。ですが、素直に嬉しかったです。
読者までもが振り回される、スパイ×アクション×ミステリー作品。キャラたちの掛け合いと洗練されたストーリーの組み方が売りの作品で、ファンタジア大賞に輝いたのにも納得できる作品。
極上のスパイたちに酔いしれたファンたちが多かったということでしょう。2位おめでとうございます!
3位 『ようこそ実力至上主義の教室へ』
著:衣笠彰梧 イラスト:トモセシュンサク レーベル:MF文庫J Webランキング:1位
正直あんまり言うことないですけれども(笑)。手堅く3位。まあ間違いなくトップ5には入ると思っていましたから、納得の順位ですね。
10巻以上刊行されているロングタイトルでありながら、この順位はすごい。安定した面白さを提供し続けている証であり、ファンたちの期待に応えてくれる作品であることがわかります。
有名タイトルが完結していく中、新シーズンが盛り上がっているよう実には最前線を走っていって欲しいですね!
4位 『探偵はもう、死んでいる』
著:二語十 イラスト:うみぼうず レーベル:MF文庫J Webランキング:3位
新時代の異能バトルものが4位ということで。Webでも協力者でも上位を占めていた、万人が面白いと評価した実力ある作品ですね。
僕この作品好きなんですが、「こんなに高順位くるのか?」と思ってしまいましたね。間違いなく面白いんですが、4位という数字をみると、どうも釈然としませんでした。微妙なニュアンスですがね……。
とはいえ、人気が高くストーリーも白熱してきている本作。ぜひ、読んでみてほしいですね。
5位 『継母の連れ子が元カノだった』
著:紙城堺介 イラスト:たかやki レーベル:角川スニーカー文庫 Webランキング:9位
このラノ2020でも総合7位を獲得した人気作。前回より順位を上げ、5位に!
ですが、感想としては本当になにも言えないんですよね……というのもこの作品、僕は肌に合わず、1巻で断念してしまっているんです。なので順位に対して特に感想を出すことができませんね……。
ただ、2巻も読んでみたいと思いました。もしかしたら、新たな物語でハマることがあるかもしれません。そういうことは往々にしてよくありますからね。
6位 『楽園ノイズ』
著:杉井光 イラスト:春夏冬ゆう レーベル:電撃文庫 Webランキング:圏外
大穴も大穴。まさかランクインするとは……協力者票で3位という圧倒的数字をたたき出した本作、6位ということで、最高です!
僕も推していた作品なのですが、まさかトップ10入りするとは思いませんでした。確かにSNS上で名前を聞くことがほぼなかったのですが、読んだ人の心を確実につかんでいたということなのでしょうか? これを機にたくさんの人に読んでもらいたいですね。お勧めですよ!
7位 『弱キャラ友崎くん』
著:屋久ユウキ イラスト:フライ レーベル:ガガガ文庫 Webランキング:7位
人生は神ゲーか、クソゲーか。陰キャがリア充を目指す学園ラブコメ、前年から順位を下げ7位という結果に。内容のクオリティは落ちていないと思いますが、新作たちが持つ話題性やフレッシュさに負けてしまったというところでしょうか。
それでも安定した面白さを提供してくれるこの作品には感謝しかないです。
チラムネという方向性こそ違えど、同じ王道青春ものという競合が出てきた中で、どう戦っていくのか。エゴサ合戦の行方は。今後が楽しみですね。
8位 『カノジョの妹とキスをした。』
著:海空りく イラスト:さばみぞれ レーベル:GA文庫 Webランキング:圏外
”不”純愛ラブコメというキャッチフレーズで話題となった新感覚ラブコメ、8位に。こちらも協力者票が強かった作品と言えるでしょうか。
1巻を読んだときは正直微妙な感じだったのでしたが、2巻からの盛り上がり方に惹きつけられ、僕もこの作品にハマりましたね。(以下のリンクでは酷評ですが、2巻のレビューでは発狂しています)
ぜひ読んでみて欲しいと思います。背徳感に浸りたいあなたに。
9位 『プロペラオペラ』
著:犬村小六 イラスト:雫綺一生 レーベル:ガガガ文庫 Webランキング:圏外
空戦ファンタジーの名士が魅せる、壮大な戦いと恋の物語。
このラノトップ10の中で一番うれしかったかもしれません。投票したくらいには好きな作品でしたが、「入ってはないだろうなー」と少し諦めていた作品でしたから、10位以内に入っていてとてもテンションが上がりました。
もともと犬村小六のファンなのですが、それを抜きにしても非常に楽しめる内容になっていると思います。要チェックですね!
10位 『お隣の天使様にいつの間にか駄目人間にされていた件』
著:佐伯さん イラスト:はねこと レーベル:GA文庫 Webランキング:5位
真昼がかわいい。それだけでいい。
癒され、ほっこりと温かい気持ちになれる。それでいて、恋愛のもどかしさも楽しめる本作。その絶妙な「早くくっついちゃえよ」感がちょうどいいんですよねー。
前年から変わらず10位。「トップ10からは落ちてしまうかな?」と思っていましたが、そんなことはありませんでした。(ちゃっかり投票してます)
トップ10以外の個人的ピックアップ作品
さて、興味を持ってほしいんですが、僕ことにまめが選ぶ、惜しくもトップ10には入れなかったものの注目していただきたい作品を3つだけ、このラノでの結果も受けつつ取り上げていきたいと思います。
1.『さよなら異世界、またきて明日』
著:風見鶏 イラスト:にもし レーベル:ファンタジア文庫
惜しくも総合18位だったこの作品。ロードムービーファンタジーと、あまり耳なじみのないジャンルで銘打たれていますが、いわゆる旅ものですね。
人の温もりを主に描いていて、ゆったりとしていてどこか落ち着くような時間を過ごしたい人にお勧めです。
2.『竜と祭礼』
著:筑紫一明 イラスト:Enji レーベル:GA文庫
新作部門24位、総合順位46位ということで……好きな作品なんですがね。
世界に散らばる伝承と杖職人。ザ・ファンタジーといったテイストとミステリーハンター的な要素を持った作品で、世界観が非常に好みなんです。
ここで詳しくは語りませんが、物語の世界に深く入りたい人にお勧めです。
3.『この素晴らしい世界に祝福を!』
著:暁なつめ イラスト:三嶋くろね レーベル:角川スニーカー文庫
ぶっちゃけ知らない人なんてほとんどいないと思いますが、完結したということで触れておきたいですね。総合13位、もう少しでした。
最終巻は感動しましたし、満足しきった作品でした。笑いの傍にはいつもこのすばがありましたし、アニメでも非常に楽しませてもらえましたよ。
まだ読んでいないという人は、アクシズ教徒に入信しなければなりませんからね。
最後に
今年も非常に面白いランキング結果になっていたと思います。
ピックアップして、実はこの作品も面白いんだぞと紹介してやろうという気満々だったのですが、まんまとトップ10入りされてしまった作品も多く、うれしいのやら悲しいのやら(うれしいです)……予想外なことも多かったですが、それ以上に納得のランキングだったと思います。
しかし、トップ10入りできた作品たちもうかうかできません。流行り廃りの激しいこの業界で、人気を安定させられるのは至難の業。そして、新たな風が今にも吹いてきています。これからは、新作たちが血で血を争う乱世になりそうで、とても楽しみです!
それでは!
厳しい女上司が高校生に戻ったら俺にデレデレする理由【感想・レビュー】
どうも、にまめです。今回は、『厳しい女上司が高校生に戻ったら俺にデレデレする理由』の感想を語っていきたいと思います。
人生やり直し、と思いきや……?
「会社の先輩との出会いが異なっていたら、あるいは」という後悔を持っていた主人公・下野が高校時代にタイムリープし、当時学生としての先輩であった透花にアタックします。しかし、その透花もなんとタイムリープしていたという衝撃展開。面白かったですね!
物語序盤でお互いがタイムリープしていたと発覚するわけですが、これがとても活きた物語となっていたと思います。社会人という枠から解き放たれ、青春を過ごしながらも社会人時代の思い出を共有されているという構造をしていたため、二人の関係に深みが出ていたと思います。
タイムリープものの中でもライトな内容になっているので、読んでいて心地よかったのが印象的でした。透花のデレデレ感などもたまらず、ラブコメとして非常に楽しめました。
最後に
好みストライクだったので、万人に勧める感じではないですが、すごく面白かったです!
僕の軍師は、スカートが短すぎる【感想・レビュー】
どうも、にまめです。今回は、『僕の軍師は、スカートが短すぎる ~サラリーマンとJK、ひとつ屋根の下~』の感想を語っていきたいと思います。
心理学でスカッとサラリーマン
本作のヒロインは人間の心理に長けたプロデュースの天才ということでしたが、その設定がとても活かされた内容だったと思います。
ライトノベル作品ということで美少女が活躍するデフォルトされた雰囲気でしたが、読んでいた気分的には、メンタリストのDaiGoが味方に付いて、サラリーマン生活を豊かにする物語といったところでしょうか。
舞台が現実と言うこともあり、数々の困難を解決していくさまにはとてもスカッとしました。知識系チートものの爽快感に近いでしょうか? こう表現すると賛否あるかもしれませんが、それに近い感覚を僕は覚えましたね。
キャラクターたちにもそれぞれの魅力があり、ラブコメとしても楽しめました。社会人×JKの組み合わせは最近多くみられましたが、その中でも割と合理性のある設定に仕上がっていたかなと思います。僕は納得できましたし、特に引っかかるほどの違和感はなく読み進めることができたので、この手の構造が苦手だという人にもお勧めできる作品だなと思いました。
なにより、主人公の史樹とヒロインの穂春が二人ともいいキャラクターをしていたなと思いました。詳しくは言えませんが、史樹からは大人らしさと男らしさを垣間見ることができましたし、穂春にも彼女なりの悩みをストーリーを通して知ることができました。そのへんが楽しめたのもよかったかもしれませんね。
最後に
副題の『~サラリーマンとJK、ひとつ屋根の下~』いるかなーと思ってしまいました(笑)。まあ確かに注目度の上がるワードだとは思いますが、なんだかタイトルには要らなかったんじゃないかなと読後思ってしまいましたね。
それでも、好きだと言えない【感想・レビュー】
どうも、にまめです。今回は、『それでも、好きだと言えない』の感想を語っていきたいと思います。
自分の思いを声に出すこと
読後、僕はこの作品にハッとさせられました。もちろん、内容としても非常に面白い内容でしたが、それ以上に自分の日常を振り返るきっかけとなったのです。
自分の本心を言葉にして伝えるというのはなかなか難しいことで、それは自分がコミュニティをもたない場所であればあるほど顕著に現れます。本作の主人公・有馬も人とコミュニケーションをとるのが苦手な高校生でした。
有馬というキャラクターに、僕は感心しましたね。この手の作品ですと、コミュ障と言っておきながらそうでもなかったり、友達ができると割とすぐ馴染めたりする、言わば「なんちゃってコミュ障」みたいなキャラクターが多いように思います(個人の感想です)が、彼はかなりリアルに寄ったコミュ障として描かれていたと思います。
理不尽なあたりや軽いいじめなどに対し、傷つきながらも「コスパが悪いから」といって自己防衛しようとする。どうせなにをやっても無駄だという諦めが有馬にはありました。
そんな中で現れたのがレイナでしたね。彼女は有馬の心の中にするりと入り込み、いつでも彼の味方でいてくれました。本心が言えない彼を叱咤し、傷ついたときは優しく慰めて支えてくれました。
本心を人に伝えるのは、時には勇気が要るとても難しいことです。一方で、本心を伝えないという決断もときには難しい。
僕は適切に、本心と建前を使い分けられているだろうか。この作品の中で成長していった有馬のように、誠実に生きられているだろうか。そんなことを思わされた作品でした。
最後に
あとがきによると『好きだと言えない』理由は七つあるそうですが、分かりましたか? 僕は自信がありません(笑) 皆さんはぜひ探してみてください。
人生∞周目の精霊使い【感想・レビュー】
どうも、にまめです。今回は、『人生∞周目の精霊使い 無限の歴史で修業した元・凡人は世界を覆す』の感想を語っていきたいと思います。
無限の時間で最強に
ぶっちゃけ刺さりませんでした。
なにか新しさも感じませんでしたし、まあタイトルを読めばこの一冊の内容は容易に想像がつくことでしょう。
のっけから最強というわけではなく、この一冊で最強へと至るため修業が行われるわけですが、その修業が大変というわけでもありません。なので、最強に至るまでの道筋がただ淡々と語られているような気分になります。
それなら、いっそ最初から最強の方がよかったのではないかと思えるほどです。
精霊の設定には確かに面白いものがありましたが、取り上げるのならば面白さはそこくらいかなと。
加えて、真の戦いはここから始まる、という風に描写されていましたが、主人公になんの共感も憧れも、応援したい気持ちもないため、正直続きが読みたいと思う気持ちになりませんでしたね。
最後に
うーん、師走トオルは好きな作家なので、残念だなという気持ちが大きかった一冊でしたね。
午後九時、ベランダ越しの女神先輩は僕だけのもの【感想・レビュー】
どうも、にまめです。今回は、『午後九時、ベランダ越しの女神先輩は僕だけのもの』の感想を語っていきたいと思います。
※多分にネタバレが含まれています。ご注意ください。
恋愛はかくも醜く美しい
まず読み終えて思ったのは、なんとタイトルの素晴らしいことか、ということでした。
このライトノベルは、貫徹して恋愛における”独占欲”が描かれていました。例えば、本作のヒロインである先輩は、イタズラという形で旭の心をくぎ付けにしていましたよね。つばきの熱烈な愛情も、独占したいという気持ちが強く表れていたと思います。
自分だけのものでいて欲しいという感情は、恋愛においては大切なものであり、ともすれば危うさをはらんだものです。一歩その匙加減を間違えれば、どちらに傾いたとしても関係が壊れる原因になってしまう。それは、この作品を読めば伝わってくるだろうと思います。
主人公の旭はある日、先輩の想いを知ることになります。そこから彼は、いたずらに負かされっぱなしだった日々からどんどんと成長を見せていきます。それは、亜季やつばきといった事件の影響も含め、自分から相手のパーソナルスペースに踏み込むことでした。
自分だけしか知らない先輩。自分だけしか知らない世界。その知りたいという欲求は、紛れもない独占欲だったでしょう。
一見怖い印象を受けそうな言葉ですが、それがとても美しいものであったということは明白。かわいらしかった少年が男らしさを見てかっこいいと思えたのは、この独占欲があってこそでしょう。
だからこそ、『午後九時、ベランダ越しの女神先輩は僕だけのもの』というタイトルが素晴らしいのです。どうです? なかなか独占欲が表れていていいでしょう。旭くんの先輩への想いがひしひしと伝わってきます。
そして、距離1メートルのベランダという舞台も活きていました。なんと素晴らしいアイテムか。
これはあくまで僕の考えですが、この1メートルの距離は二人の関係性を暗喩していましたよね。好きなんだけどどうしても踏み込めない。抱きしめたいけど届かない。そんな絶妙な距離感です。旭と先輩の関係のもどかしさは、この舞台あってこそのものもあったのではないでしょうか。
そしてベランダを飛び越えるシーンは、お互いに大きく一歩を踏み込んだところで描かれていました。だからこその臨場感。大きなターニングポイントの場面をより活き活きとした描写にするのに貢献していたと思います。
ここまでメタ的な話をしてきましたが、すごく面白かったです!
先輩のいじらしさが超いいですよね~! 現実ならキモイかもしれませんが、先輩の待ち受けが旭だったのもカワイイかよコンチクショウ! 最高! って感じでした。お互いの隙という気持ちが文章によく表れた大変面白いラブコメだったと思います!
最後に
ベランダとの距離近ッ! って家に住めばこんな素敵ライフが送れるんですかね。
ねえ、もっかい寝よ?【感想・レビュー】
どうも、にまめです。今回は、『ねえ、もっかい寝よ?』の感想を語っていきたいと思います。
尊い状況に
あなたは女の子と添い寝をしたことがありますか? 僕はありません。そりゃ幼いころはありますが、いわゆる思春期からは経験したことがないですね。(童貞なのがバレましたね)
添フレなる関係があるというのを聞いたことがあります。僕はセフレじゃないからセーフというような気持ち悪さを感じてあまり好印象を持っていないのですが、ようはセまではいかない関係、くらいのニュアンスですよね。
しかし、この作品は僕に添い寝に対する悪印象を払拭してくれました。もちろんフィクションなのでその中でという意味ですが、心地よく読むことができたと思います。
主人公とヒロインの関係性については、特筆すべきところはないかなと思います。不眠症から始まる添い寝の状況は設定チックな印象を受けました。ここで不眠症という設定を持ってきたのには少し引っかかりましたが、ここでは置いておきましょう。
とにかく彼らの日常、そして二人の恋愛感情がゆったりと描かれていました。そこからのラストシーンで満足できたという感じです。シンプルですがとても映えたきれいなラストシーンだったと思います。
ただ個人的には、やはりどうしても不眠症を扱っているというのが引っかかってしまいました。それは、不眠症という問題がとても難しく、かつ丁寧に描かれるべきテーマであるのに、添い寝させるための要素として出されていたように思えたからです。
百歩譲って静乃は理解できます。彼女の家庭的事情は精神的ストレスになりうるでしょう。しかし、忍に関しては重度のホームシックであり、それにもかかわらず彼自身がホームシックを抱えているようには見えず、どうしても不眠症という設定に説得力を感じられませんでした。
この作品の世界観と不眠症というテーマの両方を尊重するのはひどく難しいものだと思います。ですが、求めるならばやって欲しかったなと思ってしまいましたね。
最後に
現実での添い寝には否定的ですが、できるもんならやりたいですよ。ええ。