午後九時、ベランダ越しの女神先輩は僕だけのもの【感想・レビュー】
どうも、にまめです。今回は、『午後九時、ベランダ越しの女神先輩は僕だけのもの』の感想を語っていきたいと思います。
※多分にネタバレが含まれています。ご注意ください。
恋愛はかくも醜く美しい
まず読み終えて思ったのは、なんとタイトルの素晴らしいことか、ということでした。
このライトノベルは、貫徹して恋愛における”独占欲”が描かれていました。例えば、本作のヒロインである先輩は、イタズラという形で旭の心をくぎ付けにしていましたよね。つばきの熱烈な愛情も、独占したいという気持ちが強く表れていたと思います。
自分だけのものでいて欲しいという感情は、恋愛においては大切なものであり、ともすれば危うさをはらんだものです。一歩その匙加減を間違えれば、どちらに傾いたとしても関係が壊れる原因になってしまう。それは、この作品を読めば伝わってくるだろうと思います。
主人公の旭はある日、先輩の想いを知ることになります。そこから彼は、いたずらに負かされっぱなしだった日々からどんどんと成長を見せていきます。それは、亜季やつばきといった事件の影響も含め、自分から相手のパーソナルスペースに踏み込むことでした。
自分だけしか知らない先輩。自分だけしか知らない世界。その知りたいという欲求は、紛れもない独占欲だったでしょう。
一見怖い印象を受けそうな言葉ですが、それがとても美しいものであったということは明白。かわいらしかった少年が男らしさを見てかっこいいと思えたのは、この独占欲があってこそでしょう。
だからこそ、『午後九時、ベランダ越しの女神先輩は僕だけのもの』というタイトルが素晴らしいのです。どうです? なかなか独占欲が表れていていいでしょう。旭くんの先輩への想いがひしひしと伝わってきます。
そして、距離1メートルのベランダという舞台も活きていました。なんと素晴らしいアイテムか。
これはあくまで僕の考えですが、この1メートルの距離は二人の関係性を暗喩していましたよね。好きなんだけどどうしても踏み込めない。抱きしめたいけど届かない。そんな絶妙な距離感です。旭と先輩の関係のもどかしさは、この舞台あってこそのものもあったのではないでしょうか。
そしてベランダを飛び越えるシーンは、お互いに大きく一歩を踏み込んだところで描かれていました。だからこその臨場感。大きなターニングポイントの場面をより活き活きとした描写にするのに貢献していたと思います。
ここまでメタ的な話をしてきましたが、すごく面白かったです!
先輩のいじらしさが超いいですよね~! 現実ならキモイかもしれませんが、先輩の待ち受けが旭だったのもカワイイかよコンチクショウ! 最高! って感じでした。お互いの隙という気持ちが文章によく表れた大変面白いラブコメだったと思います!
最後に
ベランダとの距離近ッ! って家に住めばこんな素敵ライフが送れるんですかね。