プロペラオペラ【感想・レビュー】
どうも、にまめです。今回は、『プロペラオペラ』の感想を語っていきたいと思います。
何のために戦う
『とある飛空士』シリーズや『やがて恋するヴィヴィレイン』でお馴染み、「恋と空戦ファンタジー」の代名詞ともいえる犬村小六の新作。久しぶりの空戦ファンタジーとなりましたが、今回の物語は戦闘員たちではなくその指揮官を中心に描かれていました。
新たな世界観で描かれた空戦でしたが、わくわくしましたね。迫力という点では、指揮官と戦闘員という視点の違いからか前作よりは感じませんでしたが、それでも大局的な戦闘の流れには、心を震わせるアツイものがありました。
さて、本作のメインキャラクターは大きく3人でしたが、このレビューでは二人の主人公であるクロトとイザヤについて触れていこうと思います。
この作品は、その二人がそれぞれの理由によって戦場に立ち、敵国ガメリアを倒さんとするセカイ系空戦ファンタジーでした。
イザヤは皇族であり、お姫様です。眉目秀麗、頭脳明晰で、その凛とした姿と立ち振る舞いは、水兵をはじめ多くの人の心を掴んでいました。しかし、そのことから同じ皇族であるリオと共に、国民へのプロパガンダとして軍へと入隊させられます。そんな最中始まった大国ガメリアとの戦争。普通なら逃げ出すところですが、彼女は皇族としての誇りを感じ、国民のために死地へと赴く覚悟を決めたのです。
イザヤは、部下たちのことを家族と称しました。本当の家族の絆を持たない彼女にとって、国民、そして部下こそが戦う理由であり、守りたいものなのでしょう。
一方で、クロトは国に絶望した少年でした。両親の浅はかな企みによって祖国である日之雄帝国からは逆賊のレッテルを貼られ、逃げ出した合衆国ガメリアでは、有色人種への差別と投資家たちの醜い欲にさらされ、彼は「国」に対して絶望します。そんな中で、彼の心に唯一残っていたのが、幼馴染であるイザヤの姿でした。
そしてそのイザヤが、ある一人の個人の欲望のためだけに狙われており、それによって戦争が起こされていることをクロトは知り、激しく憤ります。
クロト自身、まだそれを言葉にするだけの確かなかたちを見つけられていません。しかし、イザヤを守るためだけに、彼はその天性の頭脳を以って日之雄の軍人として戦うことを決めたのです。
依るべきものを失い、それでも守ろうとするものを見出した二人が、勝つことは不可能にも等しい敵に立ち向かう。ここからこのお話がどのように転がっていくのか、非常に楽しみですね。
最後に
こちょこちょのシーンがありましたが、なんですかあれ。羨ましいにもほどがある! 僕も美少女3人に囲まれてきゃっきゃうふふされる人生が送りたかった!
まとめ
キャラクター:★★★★★
世界観・雰囲気:★★★★★
展開・テンポ:★★★★☆
設定:★★★★☆