明日もきっと、ライトノベルと

読んだラノベの感想・レビューを載せています。面白かったもの、刺さらなかったもの。両方とも基本的にはレビュー作っていきます。楽しんでもらえれば幸いです!

死呪の大陸【感想・レビュー】

 どうも、にまめです。今回は、『死呪の大陸』の感想を語っていきたいと思います。

 ※ネタバレを多分に含みます。ご注意ください。

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停滞か自由か、死か生か、王道「呪」ファンタジー 毎日が平穏だった。温かくて、優しくて……でも刺激が、足りなくて。何者かになりたかった。自分にしか出来ないことをしたかった。だから願った。

その結果、何が起こるかも知らないで。

《死道標》と《死予言》二つは対となり死呪を完成させる。 憧れていた大陸は、そんな死呪に満たされていたのだ。

かつて神の罠に嵌り、全てを奪われた少年・シキ。暗殺者として影の世界に生きるシキの日常は、外見だけは可憐な美少女・エヴィルとの出会いによって変わってゆく。

破天荒な彼女と目指すは《立体城塞都市レジナリオ》――この地に待つ、約束された悲劇を覆すために。

王道×邪道

 タイトルを読んだとき、コテコテのダークファンタジーものなのかなと思っていましたが、そんなことはなかったですね。物語の進行・展開は王道ファンタジーそのものでした。しかし、戦う理由は地位や名誉でもなく、胸躍る冒険も待ち構えていません。全ては悲劇を覆すため、弟を救うためにシキは歩み続けます。

 そんなわけで、とても不思議な気持ちになりました。おっと、これは妙な読後感だなと。いい意味でですよ。

 メタ的なコメントになってしまいますが、この物語はW主人公ものとしても楽しめるのではないかなと思いました。もちろんシキは主人公ですが、同時にエヴィルも主人公格の登場人物でしょう。彼の過去はまだ判明していませんが、シキとはまた異なる冒険の在り方があるはずです。推測するならば、先祖の名誉のためとかかな。わかりませんが。

 前置きがだいぶ長くなってしまいましたが要するに、シキとエヴィルとではかなり世界観が変わってくるのではないかと。シキは復讐と呪いという要素を持った邪道ファンタジー寄りの主人公で、エヴィルは明るく名誉のために戦う王道ファンタジー寄りの主人公。そう考えると、なんだか不思議な物語の進み方・世界観だったのも納得いくかなあと。そんなふうに思いますね。はい。

 さて、こんなところでストーリーについて触れていきましょう。

 世界観がつまびらかになっていき、最後に怒涛の伏線回収。どんでん返しの連続と白熱するバトルの描写には圧倒されましたね。どんな展開になるのか全く予想がつきませんでしたし、最後まで楽しむことができました。

 さらに、それぞれの人物が深堀されていたのがよかったですね。特にクライマックスのダクティルのシーンはよかった。じっくりと描かれていた彼の葛藤や人間性、そして成長が一つのカットに凝縮されていて、見ごたえがあるラストに仕上がっていました。

 要するにおもしろかったってことです。

 

最後に

 頭からケツまで満足できる作品だったと思います。また、がっつりハイファンタジーで面白い新作が読めてうれしかったですね。まだ読んでいない人にはぜひおすすめしたいです。

 

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