明日もきっと、ライトノベルと

読んだラノベの感想・レビューを載せています。面白かったもの、刺さらなかったもの。両方とも基本的にはレビュー作っていきます。楽しんでもらえれば幸いです!

ラストオーダー1 ひとりぼっちの百年戦争【感想・作品紹介】

 社会人になっても気の合う友人とセッションとかができる生活を送りたいものです。つらいことがあっても、音楽で楽しく過ごせる日常を手に入れたいですね。そんなわけでどうも、にまめです。今回は、『ラストオーダー1 ひとりぼっちの百年戦争』の感想を語っていきたいと思います。若干のネタバレを含みますが、物語を読むにあたって遜色のないようにしますので、安心していただきたいです。

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終末後の世界。機械兵士リアは、最後の命令――ラストオーダーに従い、終わることのない戦争を百年以上も続けていた。そんなリアの前に、終末後も生き残っていた人々が暮らす住処を追われた兄妹、ノーリィとミクリが現れる。規則上子どもを見捨てられないリアは、二人を保護することに。機械人形を警戒する兄妹だったが、身を挺してでも二人を守ろうとするリアに次第に心を開いていく。意を決して、もう戦争は終わっていて戦う必要がないことを告げるが、命令に従うリアは戦いをやめることを拒み――!

NOVEL DAYSにて開催されたリデビュー小説賞受賞作が登場!

あらすじ

 半生物兵器によって終末した世界――地下世界に人間たちが追いやられて100年。軍用ヒューマロイドとして上官の最後の命令”ラストオーダー”に従い戦い続けていたリアは、とある理由から集落を追われた兄弟・ノーリィとミクリに出会う。「機械人形は人間を襲う恐ろしい存在だ」と教えられていた二人はリアを警戒するが、身を挺してでも二人を守ろうとするリアに次第に心を開いていく。

 優しい”心”を持つヒューマロイドのリアを見て、幼い少年ノーリィはなにを感じるのか。終末した世界で戦い続けるヒューマロイドと心優しき少年の物語が始まる――。

 

こんな人にオススメ!

・終末した世界で生きる人々の姿を見たい!

・ヒューマロイドと人間が邂逅する物語が見たい!

 

地下に追いやられた人々と100年前の世界

 この作品は終末もので、人間たちは地下へと追いやられています。舞台は日本なのですが、生活水準は格段に落ち、小規模な集落を作ることで人々は細々と生きています。地上は危険な半生物兵器という得体の知れない怪物が跋扈しており、うかつに地上に上がることはできません。

 終末ものとして、この作品の世界観は素晴らしいものがありました。終末後の世界の生活様式・価値観・宗教、至るところにこだわりと説得力が散りばめられていて、彼らの生活環境がありありと頭に浮かんできます。終末世界好きの方にはたまらないものがあるでしょう。

 そして、この作品の見どころの一つとして、終末前と終末後の対比というものがあります。物語は、ヒューマロイドであるリアと、地上を知らない幼い少年であるノーリィの二人の一人称視点が切り替わりながら進んでいきます。そのため、100年前の社会と今の社会。明らかに異なるその二つの世界を見て、僕たちは「一体世界になにがあったのか」という謎を想像しながら、高揚感とともに物語を味わうことができます。

 明確な世界の異常、彼らの生活の中にも見えてくる歴史の違和感。なぜ、世界は終末してしまったのか――そんな体験をしてみたい方はぜひ、本作を読んでみてください。

 

地上に憧れる、強い心を持つ少年・ノーリィ

 本作の主人公ポジションにいるノーリィについて、ここからは触れていきたいと思います。

 ノーリィは、”スィロ”の村で育った孤児の少年で、ミクリという失語症の妹ともに暮らしています。

 彼には憧れがありました。それは――地上に行くこと。村の中で、地上に行ける人間は才能を持った一部の人間しか許されておらず、そのため人々は地上の様子を、実際に行った彼らから聞くことしかできません。そのため、彼は”空”といった様々なものに強い憧れを持っていました。

 ノーリィはとても好奇心旺盛なキャラクターとして描かれており、歳相応のあどけなさが見て取れます。一方で、彼は村の価値観や宗教といったものにとても懐疑的です。

 自分の気持ちに素直で行動力のあるノーリィの姿を見ると、とても元気がでてきます。そのうえ、周りに影響されるのではなく、自分に一本の大きな芯を持った彼には、尊敬できるところがたくさんあります。

 そんなノーリィが、”殺戮兵器”であるヒューマロイドと出会い、どうなっていくのか。二人の邂逅がもたらしたある冒険の物語こそが、この作品の一番の魅力です。ぜひ幼くも力強い少年・ノーリィのエネルギーに触れてみてください。

 

最後に

 寝る前に少し……くらいのテンションで読み始めた作品ですが、気づいたら目が冴えきっていて、あっという間に読み切ってしまいました。それくらい濃密な世界と、エネルギッシュな物語だったと思います。また、作者の方が元自衛官だということで、戦闘シーンもリアリティがあって面白いです。本当に強くお勧めしたい一作で、続きが楽しみです。

 今回はここらで終わりたいと思います。最後まで読んでいただきありがとうございました。

 

まとめ

ジャンル:終末もの/SF/機械

面白さ:★★★★★

一言:100年を戦うヒューマロイドと大志を抱く幼き少年の、戦争を終わらせる物語

 

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