明日もきっと、ライトノベルと

読んだラノベの感想・レビューを載せています。面白かったもの、刺さらなかったもの。両方とも基本的にはレビュー作っていきます。楽しんでもらえれば幸いです!

千歳くんはラムネ瓶のなか4【感想・レビュー】

 どうも、にまめです。今回は、『千歳くんはラムネ瓶のなか4』の感想を語っていきたいと思います。

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インハイ予選を終えた7月。陽はチームの新キャプテンになった。仲間とぶつかり合いながら切磋琢磨し、ともに高みを目指す日々。その姿はやけに眩しく、俺の心を揺さぶった。

そんなとき、野球部のエース、江崎が現れる。

「朔…頼む、野球部に戻ってくれ。どうしても、お前の力が必要なんだ」

―あの暑い夏の日。自分で止めた時計が、もう一度音を立てて動き出した。これは、挫折と葛藤、そしていまだ胸にうずく“熱”の物語。

あの夏を終わらせて、もう一度、夏を始めるための物語。

好きなことなら逃げないで

 真剣に向き合う、というのはとても難しいことです。僕は、辛くても苦しくても、それでも真剣に向き合えたものは、片手で数えられるほどしかないと思います。

 今回は、そんな”真剣さ”を部活というものを通して描いた、今までで最も熱い内容となっていました。

 メタ的な話になってしまいますが、構図がとてもよかったですよね。過去に囚われてしまっている千歳と現在に悩む陽。共通する二人の葛藤を、もがきながらも解決していく流れがわかりやすく、ラブコメという点にもうまく絡められていて、読んでいてストレスのない完成度となっていました。いやすごい。

 それはさておき物語に触れていくと、今回彼らが悩んでいたのは”努力”と”才能”というところがキーワードになってくると思います。千歳や陽は自己鍛錬だけでなく、チームをよりよい方向へ導くという意味も込めて、誰よりも努力をしていました。しかし、周りは彼らの圧に心が耐えられなくなり、彼らの努力を才能にくくってしまいました。そうなると、ボタンの掛け違いはほどけず、例えば千歳と野球部のようにお互いに傷つくことになってしまうのです。

 そういえば、美咲先生がいい言葉を言っていましたね。

「自分で気づくしかないんだよ。限界を決めてるのは誰か、ってことにはな」

 結局、自分の届かない場所が見えてしまうと、諦めにも似たブレーキが自分の心にかかってしまう。その上での厳しい練習などが重なり、バスケ部は喧嘩になってしまったのです。

 

 成し遂げたいことがあるなら、逃げるな。悔いのないくらい食らいつけ! そんな熱いメッセージを受けた気がします。もちろん、現実でこうもうまくいくかなんてわかりませんが、少なくともこの本を読んだ読者諸兄は千歳や陽、そしてチームの仲間たちの姿を見て、勇気と活力をもらえたと思います。

 

最後に

 真剣に向き合うというのは、自分との戦いです。誰しも諦めたくなるときや逃げたくなるときがあります。そんなとき、どうすればいいか。それを、この作品は伝えてくれているのではないでしょうか。

 たくさんの人が、その背中を押されていますよう。

 

まとめ

総評:★★★★★

 

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