明日もきっと、ライトノベルと

読んだラノベの感想・レビューを載せています。面白かったもの、刺さらなかったもの。両方とも基本的にはレビュー作っていきます。楽しんでもらえれば幸いです!

千歳くんはラムネ瓶のなか3【感想・レビュー】

 めんどくさがり屋すぎると、自分で思うことがあります。というかしょっちゅう思っています。どうやったら治るんでしょうか。急募。そんなわけでどうも、にまめです。今回は、『千歳くんはラムネ瓶のなか3』の感想を語っていきたいと思います。

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「君」にさよならを。

6月の進路相談会で顔を合わせて以来、俺と明日姉は学校でも会うようになった。 まるでデートのように出かけることも増え、俺は嬉しい反面……どこか切なさにも似た感情を抱えていた。

それがひどく身勝手なものだということも理解しながら。

明日姉は、東京にいく。物語を「編む」人になるために。 俺は、笑顔でこの人を送り出せるだろうか――。

大人気“リア充側”青春ラブコメ、第3幕。

遠い夏の日。君とまた会えますように。

私が私であるために

 3巻となるこの作品の主軸は、なんと明日風でした。予想の斜め上をいく人選に少し驚きましたが、なるほど面白いテーマと物語でした。

 明日風は今まで、少しミステリアスな年上の先輩として描かれていました。それは、千歳が弱みを覗かせる、ヒーローでない一人の少年の姿へと戻るきっかけとして、彼女は描かれ続けていたのです。

 そんな明日風が、進路指導の先輩として千歳をはじめとするグループの前に現れ、今まで以上に密接にかかわることになります。そこで、千歳君と共に、僕も衝撃を受けました。

 3巻で描かれていたのは、ミステリアスな先輩でない、普通の女子高生としての明日風。そのギャップに、一瞬混乱します。しかし、それは普通の女子高生とても当たり前のことでした。そして、そのギャップが同時に彼女についてより深く理解させてくれました。

 今回取り扱っていた、普遍的で容易ではない問題。この問題に対して、今回のお話は一つの答えを出していたのではないかなと思います。

 チラムネはここまで様々な”成長”を描いていますが、今回は、自分と向き合い、周りを知ることを”成長”という軸と繋げていました。明日風は千歳との物語の中で不安定な自分の中に、本当の自分を見つけることができたのです。

 今回も、素晴らしいお話でした。

 

最後に

 千歳くんの行動力とその感情には圧倒されるものがあります。そのエネルギーをもらった健太や七瀬、明日風は一歩、前に進むことができました。しかし、ヒーローであろうとする千歳自体はどうなっていくのでしょうか。今後、彼が描かれるときがきたら、すごいお話ができそうですね。そんなことを思いながら。

 

まとめ

総評:★★★★★

 

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