三角の距離は限りないゼロ５【感想・ネタバレあり】
出版編集者って憧れますよね。昔よくバクマンを見て、編集ってかっこいいなと思っていました。そんなわけでどうも、にまめです。今回は、『三角の距離は限りないゼロ５』の感想を語ってきたいと思います。
僕と君と君の恋。どちらも選べない僕は、危険な場所に踏み込んで――。
一人の中にいる二人の少女、「秋玻」と「春珂」。僕は自分を助けてくれた彼女たちと、ある約束を交わした。
それは「二人に同じだけ恋する」ということ。デートで、部室で……次々と交わされる、胸を焦がすような甘いやりとりに、僕はおぼれていく。
でも……心のどこかで警報が鳴っている――このままでは、いけないと。
焦って空回った僕は、憧れの大人達と触れ合っていくなかで、いつしか理解していく。モラトリアムの終わりを。僕がするべきこと。しなければ、いけないことを。
僕と彼女と彼女が紡ぐ、切なく愛しい、三角関係恋物語。
迫る秋玻と春珂、葛藤する矢野
読み終えてまず思ったことは、際どい表現来たなーと思ったことでした。正統派ラブコメでは珍しく、５巻では秋玻と春珂、そして矢野の生々しいシーンが描かれていました。
二人と恋人となることを決めた矢野でしたが、その証を大胆に求めてくる彼女たちに、矢野は罪悪感を抱きます。そして、自分の中の正しさがわからなくなってしまう。それは矢野が彼女たちのために選んだ道で、彼女たちが望んだことでした。
しかし、矢野はその道が不純なものに見えてしまい、自分の感情を抑えられなくなってしまいます。
この矢野の葛藤、罪悪感。いびつな恋人関係。５巻ではこれらの描写が生々しく、読者に訴えかけるように描かれていました。矢野の苦悩がダイレクトに伝わってきて、思わず自分も頭を抱えたほどです。
秋玻の胸を触るシーンなどは特に、まるでその空間に酔ってしまっているかのような、ふわふわとしていて妙な緊張感のある描写になっていました。それが矢野の感情の爆発を見事に表現していて、彼の心のうちを限りなく共有させてくれました。
恋の悩みは、将来の悩みにも
矢野は５巻で、もう一つの壁にぶち当たります。それは、進路希望。将来の夢をどうしたいかです。
秋玻と春珂との恋愛関係。それは、矢野自身が自分の優柔不断な性格を自覚し、思い悩むきっかけにもなりました。一人を選べない自分。どっちつかずの関係に落ち着いた現状。矢野はそれが正しいのだと自分に言い聞かせますが、心の奥底では懐疑的で、不安ばかりが募っていました。
そして、矢野は職場体験で町田出版に訪れることにします。そこで見た光景。野々村の編集者としての仕事ぶりを見た矢野は、心を打たれます。しかし同時に、そのあまりに圧倒的に見える実力に、彼は編集者という仕事を遠く感じてしまいました。
しかし、矢野は野々村の頼みで再び町田出版に訪れます。なにもない自分。そんな現状を変えるために、彼は勇気ある一歩を踏み出しました。
未来への一歩を踏み出した彼の姿には、僕も嬉しくなってしまいました。まるで憑きものが取れたように、未来へ思いを馳せて笑みを浮かべる姿には、長らく悩みと葛藤を抱えていた彼が救われたような気がしました。
最後に
ラストには驚きましたね。まさか秋玻と春珂が再び、自分たちを取り合うことを望むとは。
ですが、矢野の答え方にもなにか覚悟のようなものが見えて、三人の成長に感動するとともに、これからの新たな展開に期待が膨らみました。いや、楽しみです！
今回はこれくらいで終りたいと思います。最後まで読んでいただきありがとうございました。
