明日もきっと、ライトノベルと

読んだラノベの感想・レビューを載せています。面白かったもの、刺さらなかったもの。両方とも基本的にはレビュー作っていきます。楽しんでもらえれば幸いです!

育ちざかりの教え子がやけにエモい【感想・レビュー】

 どうも、にまめです。今回は、『育ちざかりの教え子がやけにエモい』の感想を語っていきたいと思います。

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「ねね、お兄って童貞?」「ノーコメント」

椿屋ひなた、14歳。 新米教師の俺、小野寺達也が預かる生徒であり、昔からのお隣さんだ。 とびぬけて発育がよく、容姿にも恵まれた彼女は、何かとウワサの種になりがちで――。

「あいつ絶対ヤってるっしょ」「もう大人じゃんアレ」

「小学校の時に三股かけてたって」 「ていうかヤらせてほしい」

「ラブホに入るところ見たよ」「キレーだね。正直やばいね」

「なんか特別だからあの子って。身構えちゃうよ誰だって」

だけど本当の彼女は、見た目よりずっと幼かったりする。

「ねえねえお兄。だっこして、だっこ」 「しません。お前ももういい歳なんだから」

「えーなんでー!? 昔みたいにだっこしてよぅ。ねえねえ、だっこだっこ-!」

――大人と子どもの間で揺らぐ、この瞬間にしかない輝き。 ――ひとあし先に大人になってしまった者にとって、それは直視しがたいほどの目映さで。

「ていうかお兄って童貞?」 「やめなさい中学生がそういう質問するの」

いつか遠いどこかへ羽ばたいていくこいつを、せめて今だけは支えてやれるように。 今日も俺は、椿屋ひなたと向き合っている。

“育ち盛りすぎる中学生”とおくる、エモ×尊みラブコメ!

椿屋ひなたという少女

 素晴らしい、とても面白かった! とまずはひとこと言わせてください。超よかったですよ。すごく面白かった。

 なんて言えばいいんでしょう。「エモ×尊みラブコメ!」とあらすじでは銘打たれていますが、それはなにかしっくりとこないんですよね。それよりは、学校という空間と思春期の子どもたちの多面性を椿屋ひなたという少女を中心に描き切った、青春小説だと僕は思ったんです。2巻以降どうなるかわかりませんが、少なくとも僕はそういう楽しみ方をしました。

 この作品では、大きく3つの視点がありました。一つは教師でありお隣さんである達也の視点。一つは同級生である手島の視点。そして最後に、少しだけ出てきましたが小学生である陽一の視点。

 この3つの視点から椿屋ひなたを見つめていくことで、ひなたの様々な姿を見ることができたと思います。同時に、学校という空間の見方も様々なかたちで伺えたかと思います。そうやって、思春期という特殊な時間について深堀されている内容こそが、この作品の魅力だったのではないでしょうか。

 またひなたもいいキャラクターでしたよね。中学生にしては大人びていて、達観している他とは違う少女。先ほど3つの視点から様々な姿をうかがえたと言いましたが、彼女が浮世離れした存在であるという評価は、子どもから大人まで共通していました。それほどまでに不思議な魅力を持った少女なのです。そしてそれは、文章の妙やキャラクター作りから僕たちにも伝わってきますよね。

 ともかくも、ラブコメと言うよりは結構思春期に生きる人間をがっつり描いた話なのではないかなと思いました。そして面白かった! 面白かったですよ!

 

最後に

 最後のランボーの詩のくだりに関してはとても気になるところですよね。自分なりの解釈は用意できてませんが、そこを考えるのも面白そうだなと思いました。これだけの作品であれば、真剣に考える価値もあるでしょう。それでは。

 

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