明日もきっと、ライトノベルと

読んだラノベの感想・レビューを載せています。面白かったもの、刺さらなかったもの。両方とも基本的にはレビュー作っていきます。楽しんでもらえれば幸いです!

シュレディンガーの猫探し【感想・作品紹介】

 2日間投稿をさぼっちゃいました。原因は酒ですね、酒。ほんとよくない。でも飲んじゃう。人と飲むお酒は楽しいですからね。そんなわけでどうも、にまめです。今回は、『シュレディンガーの猫探し』の感想を語っていきたいと思います。ネタバレなしです。

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探偵は“真実”を求め、魔女は“神秘”を求める。そして時に、人には解かれたくない謎があり、秘密にしておきたい真実がある―。とある事件をきっかけに訪れた洋館で、僕は一人の魔女に出会う。「解かれない謎は神秘と呼ばれる。謎は謎のまま―シュレディンガーの密室さ」魔女・焔螺は謎こそ神秘と考え、この世を神秘で埋め尽くしたいのだと言う。事件を解決する「名探偵」と、謎を謎のままにしておきたい「迷宮落としの魔女」との、ミステリーとは似非なる知恵比べが始まる!第14回小学館ライトノベル大賞・審査員特別賞受賞作。

あらすじ

 探偵嫌いの高校生・守明令和は、とあるきっかけから一人の魔女に出会う。彼女の名は焔螺。理屈も常識も通じない、荒唐無稽で理解不能で、幻想的なあらゆる事象――『神秘』を求める謎多き女性。そのあまり、事件を迷宮入りさせ、神秘的な謎を謎のままにしてしまう彼女は、『迷宮落とし』と呼ばれていた。

 これは、名探偵と魔女との知恵比べと、あまりに大きな『神秘』を追う二人の姿を描いた物語である。

 

こんな人にオススメ!

・ファンタジーとミステリの融合? 謎を解かない新感覚ミステリが見たい!

・予想もつかない大きな謎。その姿を追う主人公と魔女の姿が見たい!

 

これは果たしてミステリなのか? 新感覚の謎解きストーリー

 作品に記載されたあらすじにもあるように、この作品はミステリーとは似て非なるジャンルとなっています。個人的には、ファンタジーミステリというのが一番しっくりくるでしょうか。ミステリ作品に明るくないので大きく言うことはできませんが、とにかく新感覚でした。

 探偵嫌いの高校生・令和と『迷宮落としの魔女』・焔螺は、作中でいくつかの不思議な事件に出会います。普通のミステリであれば、このまま事件の謎を解き始めますよね? ……すいません、聞いておいてなんですがこの作品でも解きます。じゃないと読者置いてけぼりですし。

 ただ、他と違っておもしろいのは話の流れやキャラクターたちの考え方ですね。この作品では焔螺が謎を解いていき、令和が助手のようなかたちでストーリーが進行していきます。しかし、事件に対してのスタンスはというと、焔螺は謎を迷宮入りさせるために謎を解いていくのです。なので、あくまで『思考実験』として、あったかもしれない『仮定』として謎は解かれていきます。神秘は神秘のままに、という焔螺のスタイルがおもしろくて、つい魅入ってしまいましたね。

 また、彼女とともに、それぞれの事件には個性的な『名探偵』たちが登場します。彼らもまたキャラが立っていて、謎解きを盛り上げてくれます。名探偵と魔女、どちらが先に謎を解けるのか、という知恵比べの要素もこの作品の魅力なのではないでしょうか。

 

『やよいトリップ』と”全天の星を見た少女”

 ネタバレなしとは言いました。僕は物語を読むにあたって遜色はないと思いますが、あらすじからは読み取れない情報も含まれているので、ここからは”微”ネタバレ注意です。

 さて、先ほどは焔螺の話ばかりになっていましたが、じゃあ主人公の令和はどういうやつなんだという話ですが、彼はとある神秘が理由で事件に首をつっこむかたちになります。

 その名も、『やよいトリップ』。

 令和の妹・守明弥生が稀に起こす、『未来を見る』という神秘。

 彼はその『やよいトリップ』をきっかけに、焔螺と出会うことになり、様々な事件に出会うことになります。

 そして、焔螺が大きな興味を持つきっかけとなったエピソード。三年前に弥生が放った言葉は、焔螺のみならず、僕をも心躍らせました。

 『全天の星を見た』

 四季折々に現れるありとあらゆる星空を、一挙に見たと弥生は言ったそう。

 果たして、その言葉の真実とはいかに……ロマンですねえ。

 この物語は、『やよいトリップ』をはじめとした不可能としか言いようがない大きな謎を追い、そして見ていく物語でもあります。ミステリというロジックを大切にした世界観の中に、このようなロジックを通すことのできないファンタジーというロマンの世界観がうまく取り入れられていて、とても楽しかったです。

 

最後に

 作者あとがきによると、この作品は次巻も含めて一つの物語なのだそうで、読むのが楽しみです。まだ読んでいない方にはぜひ読んでいただきたいですね。

 ラノベ界隈にもミステリというジャンルは着々と馴染んできているようですし、今後も伸びてくるのではないでしょうか。

 今回はここまで。最後まで読んでいただきありがとうございました。

 

まとめ

シュレディンガーの猫探し』 小林一星/左 ガガガ文庫

ジャンル:ファンタジー/ミステリー

面白さ:★★★☆☆

魅力:ファンタジーと融合した新感覚ミステリ

 

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