明日もきっと、ライトノベルと

読んだラノベの感想・レビューを載せています。面白かったもの、刺さらなかったもの。両方とも基本的にはレビュー作っていきます。楽しんでもらえれば幸いです!

リベリオ・マキナ4【感想・ネタバレあり】

 誰かを誰かと判断するとき、僕らはなにで判断しているのでしょう。容姿でしょうか、話し方でしょうか……。僕らは相手の心のうちまで見ることができません。もし、相手の容姿が劇的に変わったとき、僕らは果たしてその人に気づいてあげられるのでしょうか。そんなことを考えてしまいます。

 というわけでどうも、にまめです。今回は、『リベリオ・マキナ4』の感想を語っていきたいと思います。

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オートマタコンテストがもたらしたもの。それは圧倒的敗北と喪失だった。

水無月、桜花、全てを失ったその夜。リタの導きにより、カノンは密かにイエッセルを脱出。アルプスの山村で待ち構えていた吸血鬼王・ローゼンベルクから、彼女は驚愕の提案を受けるのだが……。
一方、時を同じくして一人の吸血鬼が新公国軍の研究所を脱走した――「俺は陰からカノンを護衛する。ハウエルズとの戦いはまだ終わってないからな」
吸血鬼軍と新公国軍の戦いの火蓋が切られる時、二人の姫とその騎士の命運をかけた反攻が幕を開ける。正義と反抗のバトル・ファンタジー第4巻!!!!

カノンの≪決意≫と≪歪み≫

 

 さて、この4巻でカノンは水無月という大きなものを失いながら、一つの岐路に立たされました。それは、ローゼンベルク王からの提案。新たな人間の王となり、吸血鬼と共存のできる、本当に平和な国を作るための懸け橋となることでした。

 ドクター・ビャクダンの娘であるという事実、水無月を守れなかった無力感から、カノンはローゼンベルクの提案に消極的でした。ですがそんな彼女たちを、ハウエルズは奇襲しました。それはあまりにも人命を蔑ろにした、多くの犠牲が払われる作戦でした。

 その惨劇を見たカノンは立ち上がります。カノンの技術を悪用したことに対する怒り、そして水無月とともに目指そうとした世界を作るために。

 ですが、やはり公女というプレッシャーはあまりに重かったのでしょう。彼女が新たに作り出した白檀式改は、彼女の歪みと願いを現していました。新たなオートマタ紫陽花は、あまりに水無月と瓜二つだったのです。

 物語の終盤で、カノンはどうしてもデザインが一緒になってしまうため、水無月に近づけないためにプログラムを大きく変えたのが紫陽花だったと語っていました。

 カノンにはきっと、「水無月に近くで支えて欲しい。けれど、水無月を作り直すのは彼への冒涜になってしまう。」そんな、複雑な心があったのではないかと思います。水無月のことを思い出さないように努力していたカノンでしたが、一方で、絶対に忘れたくないという気持ちもあったのでしょう。

 それほどまでに、水無月のことを彼女は愛していたのです。

 最初読んでいるときは、カノンが病んでしまったのだとばかり思っていましたが、最後まで読んでみるとそういうわけでもなかったのかなと。彼女の心の拠り所になれるのは水無月だけで、紫陽花というのは水無月へ頼りたい気持ちと自らの足で踏みだしたい気持ちが生み出したオートマタなのでしょう。

 カノンは一人のオートマタとして紫陽花を大切にしていた描写もありますし、そう考えると、彼女は彼女なりに本当に踏ん張って戦っていたのだと思います。

 

ついに明かされる水無月の秘密

 死んでしまったかに思えた水無月は、元の吸血鬼の肉体に戻り再び蘇りました。起こるはずのない現象に戸惑う水無月でしたが、そんなときにユーリに出会います。

 水無月は、吸血鬼の魅了によってカノンを狂わせてしまうことを恐れていました。そしてなんと、彼には感情が戻っていたのです。つまり、今までカノンと過ごしてきた記憶の中に、恥ずかしさや後悔などが生まれてしまい、水無月は身悶えます。

 また、水無月は王族の血筋であったことが判明しました。雷のブラッディソード。その技を操れるのは彼だけ。そして、なぜ水無月がオートマタとして『不適合』とされたのか。その理由は、電子系を操る吸血鬼の脳とオートマタの身体は相性が悪く、うまく信号が伝わらなかったからでした。

 正直、衝撃展開が多すぎて、ついていくのが大変でした。結構猛スピードで水無月の秘密が明かされていきましたからね。ですが、吸血鬼に戻ったものも、再びオートマタへと姿を変えた水無月の意思やブラッディソードも持ち出すバトルシーンなど、見所がたくさんあって面白かったです。

 

最後に

 

 あとがきによると、リベリオ・マキナはこの巻でラストのようですね。僕はとても好きな作品だったので残念ですが、その続きを再び見られる日を楽しみに、今回は終わりたいと思います。最後まで読んで頂きありがとうございました。

 

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