キミの忘れかたを教えて2【感想・ネタバレあり】
忘れたい思い出ってありますよね。辛かったり恥ずかしかったり、切なかったり。未練や後悔というのは本当に消えないもので、振り切るために劇的ななにかが起こることを願うばかりです。そんなわけでどうも、にまめです。今回は『キミの忘れかたを教えて2』の感想を語っていきたいと思います。
不安を胸に、手に取った2巻
あの素晴らしい1巻の展開とラストを読んだだけに、2巻に対しては不安な気持ちがありました。蛇足になってしまわないか…しかし、修と鞘音の新たなステップとして、1巻に引けをとらない面白さがありました。
作者あとがきでもありましたが、1巻は取り戻した青春を、2巻では完全に終わっている物語の結末を描いていました。主人公二人の物語に三雲雛子という新キャラが加わることで、2巻は新たな『忘れかた』の物語を描き切っていて、大変読みごたえを感じました。
振り切りがたい未練、明るさに隠れた残酷な過去
2巻の物語は大きく二つあったと思います。その一つが、新キャラである雛子の物語ですね。
雛子は観光協会の職員としてSAYANEを観光大使にするべく旅名川を訪れましたが、冒頭で彼女もまた旅名川の出身であり、正清の後輩にして幼馴染だったことが明かされますね。ページをめくるごとにだんだんと彼女のことがわかってくるのですが、その明るく朗らかな態度の裏に、重く沈み込んだ未練が隠されていましたね。
後半で明かされた雛子の初恋から失恋までのエピソードには、心を締め付けられました。正清にスノーランタンの伝説を伝え、エミリィに失恋することを祈っていたシーンは特に読むのが辛かったですね。
「もしも、こうなっていたら…」と考えてしまうのは人間の性というもので、雛子もたくさん考えてしまったのでしょう。彼女の「もしも」はいつも叶わなかった。だからこそ、そんな彼女が最後にスノーランタンフェスで見せたあの楽しそうな姿は、心に響いたのでしょう。雛子には幸せになって欲しいですね。
まだ始まったばかり。夢も、恋愛も
もう一つの物語といったら、やはり修と鞘音の物語でしょう。
晴れて恋人となった二人は、隙を見ては僕らにそのいちゃつきを見せてきました。ニクいね。
そのいちゃつきの中には、一瞬を大切にしている二人の想いと信じあう心が詰まっていました。 1巻で触れられていた通り、修の身体はボロボロになってしまっています。いつ、なにが起こるかわからない。そんな中でも、修は再び昔の音色を取り戻すため、鞘音はそんな彼の隣で歌い続けるため、二人は支え合い、力を磨いています。
恋人関係はぎこちなく、夢はまだ始まったばかり。そんな二人を応援していくのが、これから楽しみです。
最後に
最初は不安でした。今は続きが読みたいです。
手のひら返しがすごいですが、それぐらい期待を裏切らない内容だったと思います。
修と鞘。新たに始まる二人の軌跡を見守っていきたいです。
と、今回はここで終りたいと思います。最後まで見ていただき、ありがとうございました。