千歳くんはラムネ瓶のなか【感想・作品紹介】
きのこの山とたけのこの里、みなさんはどっちが好きですか? 僕は元きのこ派の現たけのこ派です。僕は山を裏切りました……ごめんッ! そんなわけでどうも、にまめです。今回は、『千歳くんはラムネ瓶のなか』の感想を語っていきたいと思います。ネタバレなしです。
あらすじ
(上記参照)
こんな人にオススメ!
・ラベリングされるクラスカーストの中で、陰キャが陽キャを目指す物語が見たい!
・リア充を描く異色の物語を見たい!
つつがなく平和な世界
読後、最初に思ったのは、1巻時点でとりあえず”ラブコメ”ではないなということです。あらすじでは青春ラブコメと銘打たれていますが、これはボーイ・ミーツ・ガール作品なので、ドキドキを求めている人からしたら期待外れになってしまうかもしれません。しかし、ボーイ・ミーツ・ガール作品としてはとても面白かったと思います。
『俺ガイル』や『友崎くん』など、ガガガからは正統派青春ラノベが多く輩出されていますが、この作品もガガガ的正統派青春ものに入るのではないでしょうか? 印象としては、透明感があるというよりは、ドラマチックな正統派作品のように感じました。
序盤、主人公の千歳が地の文でリア充リア充と連呼するのは正直キツイものがありましたが、それ以外はテンポもよく、作品にのめりこむことができました。話の展開がわかりやすく、かつ面白くてよかったです。
また、テーマがはっきりとしていてよかったですね。どうしてもラベリングされてしまうこの世の中で、自分らしく生きるとは。千歳と、更生していく健太を見ていて、それがストレートに伝わってきました。
ネタバレなしとなると物語に触れるのが少し難しいので、ほんとうにざっくりと魅力を伝えると、主人公の千歳がそりゃもうかっこよかったです。リア充の中でもトップ。完璧超人である千歳が、引き籠もっていた陰キャオタクである健太を助ける――。これだけ聞けば、「は? 陰キャに喧嘩売ってんのか?」という物語にとれなくもないですが、その中身は人間関係の構築と、人としての在り方についてとても大切なことが描かれていたと思います。加えて、わかりやすいです。
この作品の世界が、全てリアルにも直結してるなんてことは言いませんが、リア充とか陰キャだとか、そういうレッテルは抜きにして「人」としてどう生きていくかというテーマが、この作品の一番面白いところだと僕は感じました。
多彩なキャラクター
びっくりするくらいたくさんのキャラクターが出てきましたね。これで新人賞出すなんて勇気あるな……と思いました。しかも、印象深く、個性的に描けています。男性キャラの印象が薄かったり、そもそも進行上必要あったのかどうかはさておき、あれだけの量のキャラクターを、一冊に無理なく落とし込めているのは、純粋にすごいと思います。どのキャラも魅力的ですしね。
今回は主に、千歳と健太の物語でしたので、千歳の周りのリア充たちというくくりで落ち着いていました。ですが、今後彼女たちが深堀されていったら、この作品は何倍も面白い作品になると思います。なので、1巻時点の感想としては、健太がリア充を目指す過程を見る物語としてとても面白かったですが、2巻以降はそれぞれが深堀されていくとより化ける物語になるだろうなと感じましたね。
最後に
正直、ここからどういった物語になっていくのか未知数です。ですが、描き方によっていくらでも化けれる作品だと思います。評判もよく、続きも出ているのでこれから読んでいくのが楽しみです。
今回はここらで終わりたいと思います。最後まで読んでいただきありがとうございました。
まとめ
ジャンル:ボーイ・ミーツ・ガール
面白さ:★★★★☆
一言:リア充の中のリア充が、引き籠もり陰キャを更生させていく物語